共働きでも小学校受験は可能か 前編 可能だが不利
共働きでも小学校受験は可能です! というのが定説になりつつある昨今。
体験してみた上での実感としては、半分嘘で半分本当、というところです。
働く母親を全て除外していたら規模が縮小してしまって業界が成立しなくなってしまうという事情が働き、ちょっと緩めに「共働きでも可能!」と言っている節があります。就業状況と志望校の様子をよく勘案した方がよいと思います。
★「働く母親」の定義 母親の就業形態は?★
週1回半日のパートをする人も、家業の名ばかり役員さんも、フリーランスも、海外出張もこなすフルタイムオフィスワーカーも、夜勤があるお医者さんも、全て「働く母親」です。学校やお教室が言う「働いているお母様もいらっしゃいます」の「働く」が主にどういう就業形態を指しているのかはしっかりリサーチした方が良いと思います。
学校側の想定と家族の状況が乖離していると、受験が大変なだけでなく、入学してからも苦労することになります(これは中学校の教員としての感想でもある。)
もし、いま志望校が同じお母様たちとのお付き合いが辛かったり、お教室から求められる母親になれなくて苦しんでいるなら、社会人としてありたい自分とのバランスを考え直してみてください。
★可能ではあるが不利★
一部の女子校を除いて、母親が働いていることによって門前払いをくらう、ということは無いと考えられます。ただし、次の3点において、実質的に共働きは不利な戦いを強いられることになります。
1.お教室の送迎
平均2年にわたって、お教室に通うことになる。複数のお教室に通う子も珍しくない。行動観察専門のお教室なんていうのは当然、「一音一文字」だけを専門に教えるお教室に通っている人もいた。
この送迎、シッターを頼ってやりきるのか。
もちろん、全て外注してこなしている方もいらっしゃいます。また、やらなくても受験は可能です。でもやってる人たちと戦うのです。たまに自分が送迎できた時に感じたことですが、指導の直後に親子で内容をフィードバックできると、その日学んだことがよく定着します。が、シッターに頼っているとそれができません。満足に対策がとれないと、精神的な不安が蓄積しますよね。
2.家庭学習
ペーパー一つとっても継続的な家庭学習が求められます。娘の先生からはよく「30分だけでもいいので朝学習の時間をとりましょう。」と言われていました。7時過ぎには出勤しなくてはいけない我が家にどうやって朝の学習時間を捻出しろと? 早起きさせようにも、帰りが遅いので、10時間の睡眠時間を確保するのに精一杯ですよね。
でもお教室で一緒の方は、夜7時に寝て、朝5時に起きて、朝1時間のペーパー学習とラジオ体操、季節のお花などについて親子で会話しながら散策する時間を設け、8時半に幼稚園バスへ、という感じの生活の方がたくさんいました。
7時に寝させるには何時に夕飯を食べさせろと? 太刀打ちできません・・・。
3.家庭力ってなに?
よく「小学校受験では家庭力を見られる」と言います。この「家庭力」という曖昧な言葉は、結局のところ上記1・2ができうる家庭なのか、ということなのだと思います。女子校の場合はさらに、日常生活から身につける立ち居振る舞い、お手伝いの習慣、なども見られます。どれも、余裕有る家庭生活と親の根気強い指導によって身につくことです。
ある女子校の面接では、ひたすら
どのくらい娘の教育のために仕事を調節できるのかに、ついて聞かれ続けました。
娘への質問は
「お母さんとはいつも何をして遊びますか」
「お母さんが作るお料理で一番好きなもの何ですか」
「いつもお夕飯は誰と食べますか」でした。
母親が働いていることをもって減点はしない。ただし、専業主婦の母親と遜色なく子供にコミットできるのであれば、というのが本音なのだと痛感しました。
つづく。